鎌倉幕府有力御家人・比企能員(ひきよしかず)ゆかりの地:正法寺(しょうぼうじ)
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/高坂駅駅舎-1024x705.jpg)
正法寺へは高坂駅からバスで向かいました。
最寄りの「大東文化大学」バス停で降りました。
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/比企氏ゆかりの地のぼり-1024x768.jpg)
バス停から少し歩いて『岩殿観音』の看板が目印です。
鎌倉幕府有力御家人・比企能員(ひきよしかず)
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/2022年大河ドラマ『鎌倉殿の13人』幟-734x1024.jpg)
比企氏は岩殿観音に深く帰依していました。
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/比企局看板-768x1024.jpg)
坂東三十三観音霊場
鎌倉幕府初代将軍の源頼朝によって発願され、
三代将軍の源実朝が西国霊場を模範として札所を制定しました。
札所は鎌倉を出発点に関東七県に点在し、全行程は1,300㎞です。
室町時代には『西国三十三観音霊場』『秩父三十四観音霊場』と合わせて、
『百観音巡礼』が行われるようになりました。
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2021/06/坂東三十三箇所納経帖-1.jpg)
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2021/06/坂東三十三箇所納経帖2-682x1024.jpg)
坂東三十三観音霊場は専用の御朱印帳で巡拝させて頂きました。
源頼朝は坂東三十三観音霊場を制定し、岩殿観音を第十番札所に定めました。
バス停・正法寺駐車場からの参道
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/岩殿観音案内-1024x810.jpg)
バス停・正法寺駐車場側から歩くとすぐ境内になります。
境内
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/水子地蔵と修行大師-1024x781.jpg)
境内に入ると修行大師像と水子地蔵があります。
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/境内の桜-1024x768.jpg)
境内の桜が綺麗でした。
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/境内案内図-1024x683.jpg)
境内周辺の岸壁・石仏
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/石仏2-1024x768.jpg)
境内を囲む岸壁には石仏が並んでいます。
四国八十八ヶ所霊場、日本百観音の写し本尊となります。
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/石仏-1024x684.jpg)
由緒
養老二年(718年)に諸国を行脚する高僧の逸海上人が、
岩殿山に観音菩薩像を安置し、そのかたわらに正法庵という草庵を結んだことから始まります。
蝦夷征伐に向かう坂上田村麻呂が、岩殿観音の御力を授かることで、
岩殿山に住み着き村人を困らせていた悪竜を討ち果たしました。
都へ戻った坂上田村麻呂は霊験を伝え、深く感銘を受けた桓武天皇は、
延暦十五年(796年)に勅命により伽藍を建立しました。
鎌倉時代には源頼朝の庇護を受け、御家人の比企能員をはじめとする比企氏は、
岩殿観音に深く帰依しました。
源頼朝没後の正治二年(1199年)には妻である北条政子が岩殿観音の堂宇を再建しました。
永禄年間(1558年~1570年)の松山城合戦により、七堂伽藍は焼亡しましたが、
天正二年(1574年)に戦火を免れた本尊の千手観音とともに、僧栄俊によって再興されました。
天正十九年(1591年)には徳川家康より朱印地を賜り、
江戸時代には観音巡礼により大いに栄えました。
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/由緒-4-1024x710.jpg)
大銀杏
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/大銀杏-712x1024.jpg)
樹齢約七百年を越える大銀杏があります。
仁王門
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/仁王門-1024x768.jpg)
運慶作の仁王像がありましたが焼失し、文化年間に再建されました。
平成に漆の塗り直しが行われました。
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/仁王像-768x1024.jpg)
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/仁王像2-768x1024.jpg)
仁王門には鎌倉幕府有力御家人の畠山重忠のポスターが貼ってありました。
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/畠山重忠ポスター-729x1024.jpg)
仁王門扁額
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/仁王門扁額-1024x768.jpg)
仁王門から境内への階段
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/仁王門への階段-1024x702.jpg)
本堂山門
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/本堂山門-1024x768.jpg)
仁王門の右側には本堂への山門があります。
本堂
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/本堂-2-1024x768.jpg)
本堂中央には室町時代作の阿弥陀如来立像が安置されています。
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/納経所-1024x768.jpg)
本堂横の納経所でご朱印を頂きました。
観音堂
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/観音堂-1-1024x768.jpg)
御本尊の千手観音が安置されています。
養老年間に創建され、寛永・天明・明治と三回再建されました。
現在の観音堂は明治十一年(1871年)の火災で焼失した後、
翌年に飯能の長念寺より移築されました。
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/観音堂2-1024x768.jpg)
薬師堂
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/薬師堂-1-1024x734.jpg)
薬師如来とその守護である十二神将、信州善光寺より分身安置された、
一光三尊阿弥陀如来が厨子に納められ祀られています。
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/薬師堂拡大-1024x768.jpg)
百地蔵堂
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/百地蔵堂-1024x717.jpg)
弘法大師空海の作と伝わる地蔵菩薩が祀られ、両脇には百体の地蔵菩薩像があります。
鐘撞堂
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/鐘撞堂-1024x768.jpg)
銅鐘には元享二年(1322年)に鋳造との銘文があります。
外面に付いている無数の傷は、
天正十八年(1590年)に豊臣秀吉の北条攻めの際に、
北条家家臣の大道寺政繁がこの鐘を引きずり回して打ち鳴らし、
軍勢の士気を鼓舞したといわれています。
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/銅鐘・鐘楼由緒-1024x629.jpg)
鐘楼は元禄十五年(1702年)に山田茂兵衛の寄進によって、
茅葺の寄棟造りで再建されました。
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/鐘撞堂からの眺め-1024x768.jpg)
鐘楼
額堂
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/額堂-1024x684.jpg)
正法寺の算額・由緒
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/正法寺の算額由緒-1024x777.jpg)
江戸時代から明治にかけて、日本独特の数学である和算が発達し、
問題や答えを書いた額を神社仏閣に奉納する習慣が起こりました。
埼玉県に残されている算額の数は約八十面で全国一位だそうです。
正法寺の算額は明治十一年(1878年)に現在の嵐山町の内田祐五郎往延という人が、
三十三歳の頃に奉納したものです。
花手水(はなちょうず)
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/花手水-1024x727.jpg)
高札
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/高札-1024x768.jpg)
境内から仁王門の階段途中に高札が建っていました。
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/高札解説-1024x670.jpg)
戦国時代に松山城主である上田宗調朝直が発したもので、
岩殿山一帯の木や草を刈り取る事を禁じたものです。
文書は正法寺に現存しているそうです。
正法寺のご朱印
平成十七年拝受:坂東三十三観音霊場第十番札所・ご朱印
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/正法寺坂東十番御詠歌-693x1024.jpg)
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/正法寺坂東十番ご朱印-665x1024.jpg)
令和五年拝受:坂東三十三観音霊場第十番札所・ご朱印
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/正法寺観音霊場ご朱印-652x1024.jpg)
薬師如来:ご朱印
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/正法寺薬師如来ご朱印-641x1024.jpg)
地蔵尊:ご朱印
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/正法寺地蔵尊ご朱印-625x1024.jpg)
善光寺如来:ご朱印
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/正法寺善光寺如来ご朱印-648x1024.jpg)
寺院情報
- 住所:埼玉県東松山市岩殿1229
- アクセス:東武東上線高坂駅下車鳩山ニュータウン行きバス乗車大東文化大学バス停下車
- HP:http://iwadonosan-shoboji.org/
正法寺表参道
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/門前町桜-1024x768.jpg)
門前通り
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/岩殿観音参道絵図-603x1024.jpg)
惣門橋から岩殿観音までの表参道には約五十戸が門前町を形成し、
家々には屋号が付けられていました。
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/表参道2-1024x768.jpg)
突き当たりが正法寺になります。
法印坊
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/門前町屋号3-1024x680.jpg)
丁字屋
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/門前町屋号-1024x768.jpg)
橘屋
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/門前町屋号2-1024x768.jpg)
正学院
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/正学院-1024x740.jpg)
暖かい日でしたので、ネコがひなたぼっこをしてました。
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/正学院のネコ-1024x768.jpg)
判官塚(はんがんづか)
判官塚参道
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/判官塚案内看板-1024x645.jpg)
表参道の途中に『比企能員ゆかりの判官塚』と書かれた看板がありました。
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/判官塚への階段と桜-1024x787.jpg)
階段を登ります。桜が綺麗に咲いてました。
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/判官塚途中桜2-1024x710.jpg)
判官塚(はんがんづか)
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/判官塚鳥居-1024x935.jpg)
階段の上の鳥居が目印です。
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/判官塚2-1024x875.jpg)
判官塚は、比企能員の菩提を弔う為に、孫の比企員茂が岩殿観音の南東に塚を築きました。
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/判官塚由来-871x1024.jpg)
大東文化大学東松山キャンパスの拡張工事に伴い、現在地に移転しました。
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/判官塚からの眺め-1024x768.jpg)
判官塚からの眺めです。かなり高い場所にあることが分かります。
弁天沼(鳴かずの池)
惣門橋の近くには弁天沼(鳴かずの池)があります。
弁天沼(鳴かずの池)
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/弁天沼2-1024x768.jpg)
由緒
坂上田村麻呂が岩殿山に住む悪竜を退治し、
首を埋めたところに弁天沼ができたといわれています。
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/弁天沼案内-1024x718.jpg)
カエルがすみつかないところから『鳴かずの池』と呼ばれたと言い伝えられています。
弁天堂
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/弁天堂-1024x768.jpg)
弁天堂のある島には桜の花が咲いていました。
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/弁天堂遠景-1024x768.jpg)
阿弥陀堂の板石塔婆
阿弥陀堂の板石塔婆
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/阿弥陀堂の板石塔婆-1024x768.jpg)
弁天沼(鳴かずの池)の近くにある岩殿会館にはかつて阿弥陀堂があったそうです。
現在は墓地の一角に『阿弥陀堂の板石塔婆』があります。
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/阿弥陀堂に板石塔婆由緒-1024x724.jpg)
板石塔婆は応安元年(1368年)に明超上人が中心となって、同門の五十余名僧侶と共に、
真言密教の布教を願って建てられた板碑で、高さが二百六十センチあります。
足利基氏の塁跡
足利基氏の塁跡
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/足利基氏の塁跡-1024x889.jpg)
弁天沼(鳴かずの池)から県道212号線に向かって小道を歩いていますと、
『足利基氏の塁跡』と書かれた案内看板がありました。
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/足利基氏の塁跡由緒-1024x608.jpg)
室町幕府初代将軍の足利尊氏の次男である鎌倉公方の足利基氏が、
貞治二・正平十八年(1363年)に反乱を起こした、
下野国豪族の芳賀高貞との『岩殿山合戦』の際、
布陣した場所で、本陣が置かれた可能性が高いそうです。
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/足利基氏の塁跡2-1024x533.jpg)
足利基氏は長期滞在はせず、すぐに下野国に陣を進めました。
その為館は基氏が築いたものではなく、
地元豪族が造った館を陣地として利用したようです。
高坂駅前:梶田隆章先生ノーベル物理学賞受賞記念碑
梶田隆章先生ノーベル物理学賞受賞記念碑
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/ノーベル物理学賞受賞記念碑-895x1024.jpg)
高坂駅前のロータリーには2015年にノーベル物理学賞を受賞した、
東松山市出身の梶田隆章氏の記念碑がありました。
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/ノーベル賞を受賞するまで-967x1024.jpg)
『ニュートリノ振動の発見』がノーベル物理学賞の受賞理由だそうです。
![](https://sansen-do.jp/wp-content/uploads/2023/05/ニュートリノ案内-1007x1024.jpg)
ご覧頂きましてありがとうございます。
源頼朝に仕えた御家人で、頼朝の乳母であった比企尼の養子にあたります。
妻は源頼家の乳母、娘の若狭局は頼家の妻になり、頼家の子一幡を産むなど、
源氏(鎌倉殿)とは深い関係をもっていました。
その後能員は北条氏との間で頼家の後継者争いから殺害されました。
一族は北条氏との戦いに敗れ、屋敷に火を放ち、自害しました(比企の変)