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伊豆最大の金山・ギネス世界一の巨大金塊:土肥金山(といきんざん)と山神社(さんじんじゃ)
静岡県伊豆市にある『土肥金山(といきんざん)』は、
古くは室町時代から採掘があり、江戸時代には佐渡金山に次ぐ生産量を誇った、
伊豆最大の金山です。
由緒(室町時代~江戸時代)
建徳・文中・天授(1370年代)年間に、室町幕府直轄の金山奉行が土肥を支配し、
盛んに金を掘ったのが土肥金山の始まりと伝えられます。
慶長六年(1601年)に徳川家康が伊豆の金山開発に力を注ぎ、
慶長十一年(1606年)に江戸幕府の金山奉行となった大久保石見守長安が、
伊豆の金山奉行も兼ね、掘削(くっさく)方法などの新技術を導入し、産金量が増大しました。
黄金館では、江戸時代の番所が再現されています。右側は大久保長安です。
慶長十八年(1613年)に大久保長安が没し、伊豆金山奉行は市川助衛門になります。
その市川助衛門が元和六年(1620年)に没すると、土肥金山は衰退し、
寛永二年(1625年)には閉山となりました。
由緒(明治~昭和)
明治三十九年(1906年)に神戸の実業家の長谷川銈五郎(けいごろう)が、
ヨーロッパの技術者を招き、探鉱を行って開発に成功すると、
再び採掘が始まり、黄金時代を迎えました。
戦後次第に生産量が減少した土肥金山は、
昭和三十八年(1963年)に採掘を中止し、昭和四十年(1965年)に閉山しました。
昭和四十七年(1972年)に観光坑道として再出発しました。
土肥金山史跡入口
土肥金山
昭和三十七年(1962年)に操業停止した際は、山の上にも鉱山施設が建っていました。
昭和三十年代には坑道にトロッコが入っていました。
江戸時代の作業風景を再現する人形が置かれていました。
江戸時代の運搬は荷車だったようです。
土肥金山周辺の古写真もありました。
金山奉行堂
観光坑道入口(釜の口・四ツ留)
坑道入口を『釜の口』といいます。坑道の入口には四本の柱を立て、
天井と左右の壁に丸太(矢木)を並べて土石の崩壊を防ぎ、
入口の上部には石垣を小高く並べます。これを『窯の口の化粧棚』といいます。
観光坑道内部
坑道入口
真夏の八月に訪問しましたが、坑道の中は涼しい空間でした。
採掘切羽(きりは)
四百年前に本格的に採掘が始められた最初の鉱脈です。
天井の赤い部分が金鉱脈で、この脈に沿って採掘が進められました。
手繰り水替(てぐりみずかえ)
採掘現場が深くなると地下水が湧出するので、排水坑道まで水を汲み上げます。
山留(やまどめ)
留木(とめぎ)を使って落盤や落石を防ぐため坑道を普請する作業を山留作業といい、
これに従事する者を山留大工といいます。特殊な技術を要する作業です。
坑内風景
採掘作業の様子が分かります。
切羽(きりは)
坑内の採掘現場を切羽(きりは)といい、江戸時代には女性も働く事が多かったそうです。
男性は金堀り、女性は運搬の仕事をしたそうです。
送風(そうふう)
切羽が深くなると通風が悪くなり、湧出する温泉熱のため、酸欠で倒れたり、
灯火も消えて作業が出来なくなることを防ぐため、
唐箕(とうみ:木製の手回し送風器)を使って空気を切羽に送りました。
運搬(うんぱん)
鉱石を入れるわらむしろの袋は、五貫目(約19㎏)が標準で、荷揚堀子はこれを背負い、
植物油で点した灯をたよりに坑外へ運び出しました。
坑内風呂
土肥の温泉は金山から湧き出したのが始まりといわれ、
坑内で湧出した温泉は、働く金堀たちにとって作業の疲れを癒せる憩いの場でした。
天正年間からの採掘跡
天正年間から掘り始めた跡もありました。
湧出する黄金の水
坑道内に湧出する泉は、金鉱の岩盤の隙間を透っているので、
昔から「黄金の泉」と呼ばれていたそうです。
銭洗いによって金運が掴めるといわれています。
坑道内の神社と地蔵尊
山神社(さんじんじゃ)
御祭神の大山祇尊(おおやまずみのみこと)は金山守護の神様です。
坑内の出入りには必ず礼拝し、作業の安全と黄金の幸を祈るのがしきたりでした。
山神社の鳥居
鳥居には金箔が貼ってあるそうです。
金子地蔵尊(かねこじぞうそん)
金子地蔵(かねこじぞう)と呼ばれ、親しまれています。
延命・厄除・治癒を願って坑夫の信仰が篤かったそうです。
黄金館
館内は写真撮影がOKでした。
千両箱重量実感体験
時代劇でも良く見る千両箱の重量は約22㎏あるのだそうです。
ギネスブック認定世界一:250㎏の巨大金塊
ギネスブックにも認定された世界一の巨大金塊が展示されていました。
12.5㎏の金塊
実際に金塊を手に取ることもできます。
黄金館:ご朱印案内
黄金館にてご朱印を頂く事が出来ます。自分でハンコを押すタイプでした。
土肥金山のご来山印と山神社のご朱印
土肥金山・ご来山印
売店や食堂のある本館で購入しました。
山神社・ご朱印
黄金館で自らご朱印を押しました。
土肥金山情報
- 住所:静岡県伊豆市土肥2726
- アクセス:東名高速沼津I.C/新東名 長泉沼津I.Cから修善寺道路を経由し、
国道136号線を約25分 - HP:https://www.toikinzan.com/
土肥金山本館二階:お食事処・葵
とび魚天丼
珍しいとび魚の天丼を初めて頂きました。美味でした。
土肥金山から駿河湾の眺め
建物の向こうには、土肥海水浴場があります。
ご覧頂きましてありがとうございます。